当ブログ内でガウス積分(オイラー=ポアソン積分)の公式を用いる際に self-contained でリファレンスを張るためと, 個人的な学習の記録として, 本エントリにてガウス積分の公式とその証明について書く1\(.\) 筆者自身にとっての分かりやすさを優先しているため, 若干冗長的な記述があるかもしれない点に注意.
証明:
\[I=\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx\] とおく. ここで, 最終的に \(\pi\) を出現させるために, 直交座標系から極座標系への移行を行いたい. そのために, まず二乗して
\[I^2=\displaystyle\left(\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx\right)^2= \left(\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx\right)\cdot\left(\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx\right) \]
文字を変えても積分値に変わりはないから
\[I^2=\left(\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx\right)\cdot\left(\int_{-\infty}^{\infty}e^{-y^2}dy\right)= \int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-\left(x^2+y^2\right)}dxdy\]
\(x=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta, dx\ dy=rdrd\theta\) とし2
もともと \(I\) は被積分関数の関数形であり, 定義域は \(I > 0\) だから, \(I=\sqrt{\pi}\). \(\square\)
2 乗して \(x^2+y^2=r^2\)3 を出現させ, 極座標での表現を開始する流れは, 胸熱であった. さて, 以下はガウス積分の公式に関連した, いくつかの等式について示すこととする.
証明:
\(y=\sqrt{a}x, dy=\sqrt{a}dx\) とし,
\[\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2}dx=\int_{-\infty}^{\infty}e^{-y^2}\cdot\dfrac{1}{\sqrt{a}}dy=\dfrac{1}{\sqrt{a}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-y^2}dy\label{eq:first}\tag{1}\] \(\eqref{eq:first}\) の最右辺をみるとガウス積分の公式と全く同じなので, \(\eqref{eq:first}=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}\). \(\square\)
証明:
単にガウス積分の類似形 1の半分の領域となるだけなので, \(\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-ax^2}dx=\dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}\). \(\square\)
参考文献
- 「ガウス積分の公式の 2 通りの証明」 2018 年 9 月 26 日アクセス.
- 「C. 極座標」 2018 年 9 月 26 日アクセス.
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証明内では, フビニの定理を暗黙に使っている. 恥ずかしながら, 筆者は測度論について全くの素人であるので, これを暗に用いることはあまりよくないと思うのだが, これがシグマの二重和が分解できることの一般形であると理解して, 今回はこれを用いた. ↩
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補足: 極座標系において, \(\theta\) の変域は \([0,2\pi]\), \(r\) の変域は \([0,\infty]\) である. また, 極座標での微小面積は \(drd\theta\) ではなく \(rdrd\theta\) であることに注意. これについては, 後日のエントリ, ヤコビアンにて取り扱っている. ↩
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一応書いておくと, この裏付けは三平方の定理より \(\cos^2+\sin^2=1\). ↩